アフリカンダンスはアフリカ大陸で踊られている伝統的なダンスで、最近ではアメリカやヨーロッパで人気上昇中で女性が圧倒的に多いようです。日本でもEXILEやUSAもアフリカンダンスの要素を取り入れていることから注目を集めています。日本人にはあまりなじみがないように思いますが、意外と身近なところで見ているかもしれません。アフリカンダンスといっても大陸全体で踊られているダンスがすべて同じではなく、地域ごとに特色を持ちます。おおまかな意味ではサハラの南のダンススタイルを指しています。伝統的な音楽をベースに現代でも引き継がれているため、ダンスの伝統を伝える役割があります。特に歴史上では大きな変更がないので、即興とは程遠い特徴を持ちます。
アフリカの部族ごとに独自のダンススタイルを生み出しており、宗教、ストーリー、儀式の3つにわけられます。ダンスは部族社会において、地位を主張するために重要なものとして表現されてきました。現代のダンスはアフリカンダンスの要素を取り入れたものが多く、ヒップホップダンスもそのうちの1つです。かつてのアフリカ人はアメリカやヨーロッパに連れていかれた過去があり、彼らの文化が外国でも広がったことが要因です。
アフリカンダンスにおいて音楽は必要不可欠な要素であり、楽器以外の伴奏もよく使われます。たとえば、歌、叫び、朗読、うなり声、ささやきなど多種多様の声を使って踊られます。ほとんどの場合はドラムのリズムに合わせることが多いようです。アフリカのコミュニティにおけるダンスでは、ドラムのメロディを聞いて集まることでお互いに連帯感を与えるため、彼らの生活には欠かせない時間にもなります。老若男女、地位関係なく社会貢献するように呼びかけています。また、マサイ族のように遊牧民のコミュニティではドラムを使用しないようです。
ほとんどのアフリカンダンスは複数のリズムが同時進行するポリリズムを使用しており、ダンサーたちは身体の部分的に異なるリズムで表現しています。非常に複雑な動きで才能があるダンサーのなかには3つのリズムを組み合わせることもあります。
アフリカ大陸には50ヵ国以上の国が存在するため、国の数だけ異なるダンススタイルが存在します。アフリカは大きくわけて東アフリカ、南アフリカ、西アフリカの3つになります。楽器も異なれば、踊りもまったく違いますが、唯一共通していることがダンスが生活に欠かせないものであることです。日本ではダンススクールやイベントに参加しなければ踊る機会はほとんどないですが、アフリカでは結婚式、子どもが生まれたときでも頻繁に踊るため、ダンスが生活の一部といってもいいくらいです。
今回は東アフリカ、南アフリカ、西アフリカの地域別に代表的なダンスを紹介します。
東アフリカではアドゥムと呼ばれるマサイ族のジャンプダンスが活発です。成人した戦士たちの成人式で踊られるダンスで、戦士たちが円を作り、その中心でジャンプを始めるスタイルです。ダンサーたちはジャンプの高さに応じて声の高さを上げられます。
南アフリカでは誰かにどこで踊るのかを指示されたりすることはなく、思い立ったらすぐに踊ります。また、南アフリカには設備が整った会場や場所が多いため、にぎやかな雰囲気のなかでダンスイベントが行われます。南アフリカの代表的なダンスを紹介します。
モザンビーク、ザンビア、ボツワナ、南アフリカ共和国に隣接するジンバブエでは「エルサレマ」と呼ばれるダンスが踊られており、しゃがんだ状態から素早く力強い動きと突進するスタイルです。
5世紀から存在しているソト族の「モホベロ」と呼ばれるダンスは、ジャンプ、キック、滑り、身体をくねらせた動きが特徴です。
ショルダーダンスは南アフリカの国レソトでよく見られるダンスで、おもに女性が踊ります。名前のとおり、肩の動きでリズミカルに表現することで構成されています。
あまり聞いたことがない「ムチョンゴヨ」というダンスは、男性がジンバブエのダンスを披露し、女性が伴奏するスタイルです。女性も時々、列を作り男性の周りで踊ります。ムチョンゴヨでは、参加者を神につなげるために踊られるスピリチュアルダンスとしての意味を持ちます。
「ウムテヨ」は若い男性が踊るコサ人のダンスで、身体全体でウェーブするような動きが特徴です。ちなみにコサ人は南アフリカのダーバンという地域に住んでいる民族です。
ウクシナは南アフリカ共和国東部に住んでいるズールー族の女性の踊りで、おもに女性の成人式に踊られます。
西アフリカでは祭りや儀式、娯楽のために踊られるダンスが多く、民族ごとに異なるスタイルを持ち、打楽器の演奏で伝統的なリズムとステップを踏みます。西アフリカにはギニア、マリ、ガーナ、ナイジェリアなどの15カ国の地域で日常的にダンスを踊られています。
西アフリカの代表的なダンスを紹介します。
アガフは西アフリカにあるベナンに住む民族によって生み出されたサークルダンスで、第二次世界大戦前から踊られていたようです。
アグべコールはベナンやナイジェリアに居住するフォン人とエウェ人による戦士の踊りです。トクサという植物を使いながら、戦場の先述を表現しています。
アシコはカメルーンに居住するバサ族によって生み出されたパートナーダンスです。
カキランベは西アフリカに伝わる儀式で踊られるダンスで、太鼓のリズムに合わせて身体全体で表現しています。
ヤンカディは西アフリカに散らばるマンディンカ族によるグループダンスで、男女混合で踊られます。
日本ではあまり見ない伝統的なアフリカンダンスを実際に見てみましょう。今回はコンゴダンス、サバールダンス、アゾントダンスについて紹介します。
コンゴダンスは腰や尻の動きが特徴で、日常生活の動きから生まれたダンスです。コンゴではアフリカのなかでも高いエネルギーに満ちたダンス文化で活発で、現代的なダンスの要素も取り入れられています。音楽とダンスによるポリリズムによって、エネルギーの高さや主張するような表現しています。
サバールダンスはセネガルで生まれたダンスで、サバールと呼ばれる伝統的な打楽器に合わせて踊ります。激しい動きが多いため、体幹や柔軟性が求められます。サバールダンスはおもに結婚式や政治的な集まりなど幅広い場面で踊られており、ダンサーは比較的に若者が多いようです。
アゾントダンスはアフリカンダンスでも有名なダンスで、ガーナで生まれました。ガーナのダンスミュージック「アフロビーツ」に合わせて踊られます。アゾントダンスはかなり特徴的で、日常生活の動きを真似したような手の仕草で見る側を楽しませます。
当初は1つ、2つの動きから始まり、現在では複雑でアクロバティックな動きに発展しています。アイロンがけや選択、運転、祈りなどをダンスに取り入れていることから、今では世界中でも人気を集めています。
本記事ではアフリカンダンスについて紹介しました。今まであまり知らなかったという人もアフリカのいろんな部族によるダンスで得られるものがあるかもしれません。ダンスに共通していることは、見る側を楽しませることはもちろん、踊る意味や役割を果たすためのコミュニケーションツールであることです。
特にアフリカの民族はダンスが生活の一部になるため、私たち日本人の感覚とは違うところがあります。もし、アフリカンダンスを見る機会があれば、ダンスの意味や背景をイメージしてみると面白い発見があるかもしれません。