アフロビート・ダンスはアフリカのサハラ砂漠以南で生まれた伝統的なダンススタイルです。アフロビーツ・ミュージックとともに誕生したことでアフリカではメジャーなジャンルです。アフロビートはエネルギッシュなアップビートのリズムに合わせて踊るトレンドを作り出したことでも人気を集めています。今までにアフロビート・ダンスを見たことがある人であれば、ノリのいいテンポや楽しさがわかるでしょう。現代ではアフリカ系の移民が増加したり、SNSの普及により世界中の人の目に触れる機会が増えています。しかし、アフロビートというジャンルは存在せず、アフロダンスやアフロビーツ・ダンス、アフリカンダンスとして認識されています。
アフロダンスは「アフロビーツ・ダンス」を略した表現で、アフロと呼ばれる肌が黒い人たちが確立したダンスです。アフロビーツ・ダンスは名前のとおり「アフロビーツ」を表現する用語で、アフロビートと同様にリズムのいい音楽に合わせてダンスを踊ります。アフロビーツは他にもアフロポップやアフロフュージョンと呼ばれるスタイルも存在しています。もともとは西アフリカの大衆音楽を指しており、ナイジェリアやガーナ、イギリスで発展したので、アフロビーツ自体を指すというよりも、西アフリカから流れてくる音楽としてまとめられています。アフロビートは電子楽器や伴奏だけでも特徴的なドラムビートのリズムでわかる人もいます。西アフリカの伝統的なドラムビートのスタイルを元にしています。演奏者の背景を重んじて、スラングやアフリカの田舎の訛りとミックスされることが多いことも特徴です。アフリカでもダンスは祭りやお祝いの儀式で踊られるものとして、彼らの生活の一部となっています。いわば参加型のダンスなので、観客も一緒に踊るスタイルが主流です。
そもそもアフロビートは具体的にどんな音楽なのか紹介します。アメリカで発展したジャズやファンクをミックスさせた音楽で、ビッグバンドと楽器のソロ、複雑なジャズ風のリズムが特徴的です。アフロビートは電子楽器や伴奏で演奏しても、独特なドラムビートのリズムによって判断しやすく、西アフリカの伝統的なビートを想起させます。ハウスミュージックのようなエネルギッシュなテンポがあります。また、西アフリカでは訛りの英語が使われることが多く、演奏者の出身地によっては地元のスラングが混じり合うこともあるようです。つまり、アフロビートはアフリカンポップとも呼べる現代的な音楽をまとめた言葉として使われています。
アフロビートとアフロビーツは似ているようでまったく異なるジャンルです。アフロビートはナイジェリアの音楽で、ベースやギター、キーボード、パーカッションで演奏されるバンドスタイルです。アフロビーツはアメリカのヒップホップやジャマイカのレゲエの影響を受けながら進化した最新の音楽を指します。アフロビートとアフロビーツの違いは自国の音楽か世界中の影響を受けた音楽になります。気になる人は2つの音楽を聴き比べてみると面白い発見があるかもしれません。
アフロビートはおもに3つのジャンルにわけられます。
それぞれ簡単に説明します。
アゾントはガーナ発祥のダンスと音楽のジャンルです。ダンスの起源は明らかではありませんが、ガーナでヒットしたことで現在では「ガーナのアゾント」として知られています。
バンクーミュージックはガーナの音楽で、レゲエやヒップホップ、R&Bの影響を強く受けたジャンルです。ナイジェリアのエネルギッシュなスタイルとは対照的に、やわらかい雰囲気の音楽です。
「ポンポン」はあまり聞いたことがない人も多いかもしれませんが、ナイジェリアのアフロ系ポップで人気のサブジャンルです。やわらかい雰囲気とシンセサイザーを組み合わせた音楽で、おもにシンセサイザーの擬音語が特徴的です。しかし、ポンポンの起源は不明であるため、アフロダンスミュージックとしてまとめられています。
アフロビートから派生された音楽は多いため、そのうち以下の5つを簡単に紹介します。
アフロソカはアフロビートとカリブのソカを融合させたジャンルです。アフロソカはナイジェリア人とカリブのトリニダード人のアーティストによって生み出された音楽です。ソカの起源がアフリカンミュージックであることから、新しいジャンルかどうかの意見はわかれているようです。
アフロスウィングは「アフロバッシュメント」とも呼ばれており、イギリス・ロンドンで発展した音楽です。イギリスでは大ヒットしたことで大成功を収めたといわれています。音楽のなかのビートがヒップホップだったり、アフロビートだったりとドラムのパターンが決まっています。
バソコはキューバに留学したアフリカ人が地元の音楽を広めたことで、キューバ音楽と融合して生まれたジャンルです。
アフロトラップはアフリカの伝統的な音楽と現代のラップ音楽を融合させたジャンルです。フランス人のラッパーによって作られたジャンルで、フランス語のラップがアメリカのトレンドに影響されすぎていると批判したことが始まりです。西アフリカの文化を取り入れたアフロトラップを作るに至ったようです。
アルテはアフロビートやラップ、ソウルなどの影響を受けて大成功を遂げたナイジェリアの音楽ジャンルです。
アフロビートの音楽は聴いているだけで元気になるのではないでしょうか?また、アフリカにおけるダンスは儀式以外にも社交のツールとしても使われています。実際にアフリカの人々のストレス解消や気分の向上、病気の予防に効果があるという研究も発表されています。どのような効果があるのか具体的に紹介します。
うつ病は近年、問題視されているため、精神衛生上の問題を解決するにあたってアフロビート・ダンスが役に立つといわれています。アフロビート以外でもダンス自体がうつ病の人に効果があることはすでに証明されています。ダンスは運動の1つなので、有酸素運動に含まれます。つまり、幸福感を感じさせるドーパミンと多幸感を感じさせるエンドルフィンのレベルが向上します。社会的にも感情的な交流ができるため、ネガティブな思考から離れるにはもっともいい方法です。
アフロビート・ダンスは素早いステップと上半身の動きを連動させながら踊るため、1日に必要な運動量を一気に得られます。ときには空中で片足キックを繰り出すこともあります。かなり体力を使うため、慣れてくると自然に体力も向上するでしょう。
アフロビートに情熱を持っている人たちは社交のツールとしても活用できます。他の人と一緒に踊ることで似たような人たちと交友が広まります。1日中スマホに張り付いている人が多いなかで、リアルに外で好きなことで楽しんでいる人に会うことは人生に楽しさをもたらします。アフリカの人はアフロビートのダンスサークルやイベントは仲間を見つけるための場所として積極的に参加しています。
実際にアフロビートの音楽に合わせたダンスを見てみましょう。リズムが独特なドラムビートと相打ちが特徴的です。また、ダンスは全身を器用に使いながら踊るので、真似してみるとアップテンポについていくのが大変かもしれません。しかし、アフロビートはテンションを上げたり、社交的な手段としても活用できるので、アフリカのダンスに興味がある人はこの機会に踊ってみましょう。