ビバップダンスは、アップテンポに合わせた動きや激しい足技、アクトバティックな技を取り入れたダンススタイルです。ビバップは、もともと音楽のジャンルのことを指し、ビバップのリズムに合わせて踊られていたことからダンスの1つとして知られるようになりました。
1990年代にイギリスのダンサーがジャズダンスやレゲエを始めとするさまざまな要素を混ぜた結果、ビバップダンスが生まれます。ビバップの元祖は、ブラザー・イン・ジャズというダンスグループです。
ビバップは一言でいえば「スーツと帽子が似合うダンス」ともいえます。英国紳士のようにクールでかっこいいイメージがわかりやすいかもしれません。
こういった渋さが魅力的でもあります。
規則正しく演奏するスイングジャズを即興で演奏することが好きな演奏者たちがマンネリ化してしまい、自由な即興演奏を求めているうちに「ビバップ」が生まれたようです。
ビバップの特徴は、以下のように他にもあります。
それぞれ紹介していきます。
ビバップの特徴の1つに、1人もしくは少人数で踊ることがあります。基本的には、ビバップは1人ずつ交代で個人の技を披露し合うので、団体で踊ることは多くはありません。
逆に、一般的なジャズダンスでは、団体でフォーメーションを作りながら踊ることが特徴です。もっといえば、ビバップは個性の表現が好きな人に向いているダンスともいえます。
その分、ビバップの音楽と同じように自由度が高いダンスなので、自分が思うように踊るダンサーも多いようです。
ビバップは、鑑賞用の音楽とも呼ばれており、芸術音楽ともいえます。つまり、演奏者が主役のスタイルです。
他のジャンルでは、観客やダンサーが主役だったり、全員が主役という見方もできますが、ビバップにおいては、音楽をリードする演奏者が神のような存在として見られることがあります。
逆に、スイングジャズはダンスミュージックの1つなので、演奏者の前で観客が踊るパーティースタイルです。
ビバップの音楽はわかりやすくいえば、よくカフェで流れているジャズです。一方で、スイングジャズは、ディズニー音楽で聴いたことがあるようなビッグバンドや吹奏楽で演奏されるジャズのイメージになります。
規則正しくメロディーに合わせるスイングジャズに対して、ビバップは一言でいえば「自由」そのものです。
アドリブを主体としているので、メロディーを前後に楽譜どおりに演奏しません。演奏者の技術次第で、音楽の方向性が変わるので、それを楽しむこともビバップの魅力ともいえます。
スイングジャズは、先述したとおり、自由な演奏とダンスがメインのビバップとは逆の音楽スタイルです。具体的にいうと、楽譜通りに演奏し、団体で動きをそろえたダンスになります。
基本的に、曲調が明るく、盛り上がるような音楽なので、メロディーがわかりやすい音楽です。ビバップが流行する前は、スイングジャズが主流で、大人数編成で楽しく踊るジャズが人気でした。
しかし、ビバップはジャズの基本で、現代のジャズには必要不可欠な要素です。ビバップの誕生がなければ、ジャズが芸術音楽の分野に踏み入れることがなかったくらいともいわれています。
スイングジャズはもともと娯楽音楽だったことから、観客を楽しませるために人気の曲を繰り返すことが特徴です。しかし、演奏者からすると飽きてしまう要因になってしまうことが多く、ステージ終了後に自分たちが楽しむためのセッションを始めたことがビバップの始まりでした。
ビバップは、高度なテクニックを使用した複雑ンはアドリブが多く、ダンスと合わないことから当初は受け入れることが難しかったようです。今では、世界中でビバップダンサーが増え始めており、ビバップ独自のジャンルとして確立しています。
人によって、音楽やダンスの好みはさまざまなので、直感的に選ぶといいでしょう。
ビバップダンスはアドリブがメインなので、基本的なステップを抑えておく必要があります。アドリブの場面では、基本ステップをもとに応用した技を披露するので、マスターしておくと思い通りの表現が可能です。
ストリートダンスやジャズダンスの経験者はにとっては、入りが簡単かもしれません。
今回は、以下のステップを順番に紹介します。
ビバップの基本ステップの1つ「ジャンプ」では、リズムを取ります。単純に真上に向かって飛ぶのではなく、1・2・3のリズムで区切ることが特徴です。
素早く、タン・タン・タンと刻むイメージになります。このジャンプでは、両足を肩幅まで広げてジャンプするフラット、フラットの状態で左右に移動するサイドが基本です。
ジャンプするときのポイントは、少し飛ぶくらいに抑えることで、体力の消耗を遅くします。ビバップのリズムが速いので、高すぎるとラグが生まれてしまい、リズムに追いつけなくなることも。
また、身体が揺れないように体幹をしっかり保つことも重要です。
ひざ抜きステップでは、後ろからひざカックンされたように、ひざを前に抜いていきます。ひざに力を入れずにリラックスした状態にしておくことがポイントです。
ただし、ひざと同時に腰も抜けないように気をつけましょう。ポイントは、ひざの力だけ抜くことです。
形としては、ひざを前に突き出して、かかとを浮かせます。着地するときは、ひざを抜いた状態で一時停止、下に着地する2つの動きの流れです。
着地したときに、拍手したような音が鳴れば、ひざ抜きステップが成功した証になります。
上手く音が鳴らない場合は、何回か繰り返してみましょう。強く踏み出しているわけではなく、ひざの力が上手く抜けていると、良い音が鳴ります。
逆に強く踏むと、足を痛める原因になるので注意しましょう。
IDJステップとは、アイ・ダンス・ジャズ・ステップのことをいいます。もともとイギリスのIDJと呼ばれるグループが作ったステップが由来です。
ビバップの独特なステップというよりも、タップダンスの要素が大半になります。リズムは、1・2・3が基本なので、頭のなかで刻むといいでしょう。
足を前後に踏み出すステップで、足裏で1・2・3とリズムを叩くようなイメージです。
片足を前に出し、もう片方は最初の足よりも少しだけ前に出します。ポイントは片足はかかとをつけずにひざを曲げますが、もう片足は足裏が床に着地した状態にすることです。
最初の1つ目で両足を着地させます。2つ目は最初の足を後ろに下げ、3つ目でもう片方の足を前に出し、踏み鳴らしましょう。
これを両足交代させながら、繰り返していきます。最初は、わからないと思うので、基本の1・2・3のリズムに合わせて真似することで覚えていきます。
バップダウンは、ストリートダンスでいうフロア技の1つで、床を使った動きです。カウント方法は自分が数えやすいようにすることがポイント。
ステップの流れは、以下のとおりになります。
過程が多いので、最初はスローテンポで練習するといいでしょう。
フロア技とはいえども、アクロバティックの要素はほとんどないので、初めての人でもできるステップです。
6ステップはその名のとおり、6で刻むステップのことをいいます。6ステップでは、ひざの向きに意識を向けることがポイントです。
6ステップの流れは、以下のとおりになります。
6つで1つのステップとして考えます。少し難易度が高いかもしれませんが、動き自体は簡単なので、流れを覚えることに集中しましょう。
スイングステップは、片方ずつステップしながら移動する技です。これまで紹介したステップのリズムとはまた別なので、リズムで覚えるよりも1つ1つのステップで覚えるといいでしょう。
スイングステップの流れは、以下のとおりです。
イメージは、フィギュアスケートのように足を滑らします。紹介してきたステップよりも少し難しいですが、スイングステップができれば他の技も簡単になってくるので、あきらめずに繰り返しましょう。
こちらの動画では、1人ずつビバップダンスを披露し合っています。ダンサーはスーツを着こなしながら、華麗な高速ステップを滑るように踊り、ダンスというよりもフィギュアスケートのような感覚です。
ビバップの音楽もかなり高速のリズムを刻んでいるので、かなり至難の業。しかし、基本的なステップを応用しているので、アドリブのきいた音楽に合わせられるくらいのスピード感が大切です。
本記事では、ビバップダンスについて紹介しました。あまり馴染みのないダンスジャンルですが、世界中ではダンス大会も開催されているくらい人気のダンスです。
日本では、ビバップダンサーが少ないこともあり、これを武器に本記事を読んで頂いた人は希少価値の高いダンスを今、知ったことになります。
ビバップはジャズのカテゴリーにあっても、スイングジャズとは真逆のジャンルであり、比較的自由度の高い音楽とダンスです。
個性を表現するのに向いているダンスなので、自分らしく踊ってみたい人はビバップダンスに挑戦してみるといいでしょう。