近年、大阪の高校生たちが「バブリーダンス」を披露したことで、注目が集められています。「バブリーダンス」とは、平成初期頃に日本で起こったバブル景気のなかで、生まれたダンスです。
「バブリー」は泡という意味を持ちますが、これは好景気だった状態が泡のように消えてしまったことから呼ばれるようになりました。つまり、バブリーダンスは「バブル世代」の象徴ともいえます。
また、派手な髪型や服装、メイクした姿で踊るため、現代の若い世代の人たちにとっては斬新でキャッチーな印象があるのかもしれません。もともとバブリーダンスは、当時の若い女性たちがクラブで踊っていたダンスで、東京に存在していたディスコ「ジュリアナ東京」が盛んでした。
ボディラインを強調するような服装にハイヒール、大きくて派手な扇子を持ちながら踊ることが仕事終わりの楽しみにしていた女性も多かったようです。
バブル景気は約4年間続いたのちにバブリーダンスとともに崩壊しましたが、最近のSNSや動画ブームによって再び人気となっています。
一方で、海外では20世紀の大半はダンス文化が活発だったこともあり、日本で生まれたバブリーダンスもクラブダンスの影響を受けて爆発的に流行したとも言われています。
何もかも絶好調のときに、バブリーダンスという形で大人の遊びとして現れたといってもいいでしょう。
ダンスジャンルの1つとして人気上昇中のバブリーダンスは今や、世代関係なく受け入れられています。いわゆる女性のためのクラブダンスです。
今の若い世代の人たちは、スマートフォンから世界中の情報を毎日のように浴びているなかで、面白さ、斬新さを追い求める傾向があります。
現代において、バブリーダンスはテレビだけでなく、SNSや動画配信がきっかけで知られるようになったことで真似する人も多いようです。
バブリーダンスはぱっと見、特徴がはっきりしていることもあり、ダンス経験がない人でも宴会の出し物として使うことも。
バブリーダンスの特徴は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく紹介します。
バブリーダンスで最初に目を引くのは、やはり派手な格好でしょう。当時、流行したファッションやメイクなので、今ではあまり見かけることがないかもしれません。
髪型でいえば、ロングヘアーに前髪をかき上げるようなスタイルで、ウィッグをつける人もいます。衣装では、体型を強調するようなワンピースや、赤色などの派手なタイトスカートにジャケット、ハイヒールに羽ストールも演出の1つです。
当時は、LGBTという概念が謙遜される時代だったこともあり、女性らしさが強調されるようなファッションだったので、男性でバブリーダンスを踊る人はほとんどいませんでした。
最近では、LGBTが認知されるようになり、男女差別が薄くなっていることから、男性もバブリーダンスを踊ることもあります。
メイクにおいては、派手なアイシャドウに、太い眉、真っ赤な口紅がメインなので、真似のしやすさは抜群でしょう。あまり見慣れない格好かもしれませんが、バブル時代では流行したヘアメイクです。
しかし、今ではバブル時代の象徴として、どちらかというと面白さが先行しているので、多くの人から反応が得られやすい傾向があります。
簡単に言えば、厚化粧でダンスを踊るようなイメージです。
バブリーダンスは、派手なファッションと同様にコミカルで激しいパフォーマンスが人気です。基本的に複数人で踊ることが多く、小道具の羽がついた扇子を利用しながら魅せています。
もともとクラブダンスということもあり、ディスコのなかで音楽に合わせて皆で踊るような形式です。パーティーダンスならではの光景なので、普段クラブに行く人にとっては馴染みがあると思います。
時代の変化とともに、ジェネレーションギャップという言葉があるように、当時の価値観とのズレも面白さとして捉える人が多いようです。
パフォーマンスという点では、宴会の場やSNSで盛り上がる手段として今でも活用されているので、今後もエンターテインメントとして認知されるでしょう。
バブリーダンスと聞くと、昔の古臭いダンスとして捉える人もいるかもしれませんが、だからこそ斬新さが目立つようになっています。
ダンスだけでなく、ファッションでも同じようなことが言えます。たとえば、1960年代に流行したファッションが、50年の時を超えて再び流行するといったことの繰り返しなので、バブリーダンスも同様です。
スマートフォンがまだ存在していない当時の日本は、どちらかというと閉鎖的でテレビやラジオ文化でしたが、今や世界中のリアルを覗くことができるようになってから広く浅く情報を得ています。
そのなかで、かつての日本が経験してきた過去のものを進化後の時代に持ってくると、かなり目立つかと思います。このように、世代を超えた斬新さが魅力に感じるという人や、共有したいという人が増えている要因です。
バブリーダンスが約30年の時を超えて人気になった背景は、今の高校生たちがリアルタイムで聞いたり、見たことがなくても、当時使われていた楽曲を通じて親世代と話が盛り上がったり、インターネットの普及が進んでいなかったことにあります。
バブリーダンスに使われている楽曲は、ノリのいいテンポが多いことから、若い世代からも受け入れやすいのでしょう。
最近では、バブリーネタを披露する芸人が現れたことで、多くの世代に知られるようになってから、バブリーダンスも注目されるように。珍しさや面白さに惹かれることはもちろん、SNSの普及によって世界中のユーザーによるリアルタイムを共有することが当たり前になった今だからこそ人気になったと思います。
だからこそバブリーダンスは、わずか約4年間しかなかったバブルという限定された時代に存在していたことが貴重だったことから、より関心を持たれるようになったのかもしれません。
最近では、バブリーダンスを踊る男性も増えてきています。たとえば、宴会や結婚式などイベントの余興で披露したり、プロのダンサーが踊るといったことです。
バブリーダンスは女性らしい要素が盛り込まれていますが、男性が踊ることで面白く見えるのでしょう。日本の社会現象を象徴するダンスだけあって、バブル時代を経験してきた人たちにとってはウケがいいのかもしれません。
男性が女装することも当たり前となり、女性のダンスという固定観念を破ることも、今の時代らしくエンターテインメントとして人気です。
バブル時代のバブリーダンスに近いパフォーマンスをするダンサーチームやアーティストを紹介します。
最近、人気上昇中のバブリーダンスですが、イメージがしやすいように実際にどんなダンスなのかを見てみましょう。
現代のバブリーダンスがブームしたきっかけが、大阪にある登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Clubです。
歌手・荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」の曲に合わせて、パフォーマンスを披露しています。見てのとおり、ハイヒールにタイトスカート、派手なヘアメイクで忠実にバブル時代の女性を表現しており、目を引くようなダンス動画です。
彼女たちのダンスパフォーマンスは、強豪校ならではの実力で迫力のあるダンスです。ハイヒールを履いたまま、ジャンプしたり、大きく激しい動きをするので、相当な練習量が必要になったかと思います。
こちらの動画が世界中に拡散されたことによって、知名度が高くなり、日本中にバブリーダンスの再ブレイクが起こりました。登美丘高校ダンス部の指導にあたっていた振付師akaneは、Tomioka Dance Clubを日本高校ダンス部選手権で2連覇まで導いた実績を持ちます。
その後、使われた楽曲は日本レコード大賞に選ばれ、NHK紅白歌合戦にも出場を果たしています。今では、登美丘高校はダンス部の強豪校として、知られるようになりました。
歌手・荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」は、1985年にリリースされたダンスミュージックです。先述した登美丘高校ダンス部のコンテスト用の楽曲として用いたことで、再び注目を浴びた曲になります。
2017年に再リリースされたことで人気が爆発し、現代のバブリーダンスの代表曲として知られるようになりました。1980年代の楽曲が40年後にヒットすることは珍しく、今や世界中で聞かれています。
こちらの動画でも、本人が登場しており、クラブダンスのような振り付けを披露しています。SNSや動画の拡散によって、かつての日本のように閉鎖的ではなくなっているので、今後も注目が集められるでしょう。
こちらは世界ダンス大会で優勝した日本人ダンスグループのパフォーマンスです。日本の楽曲ではありませんが、20世紀にヒットした洋楽に合わせてダンスを披露しています。
世界大会レベルということもあり、大人数の息がぴったりで圧倒されます。ミュージカルのようなパフォーマンスで、日本で言えば昭和時代の服装で雰囲気を出しています。
彼ら一人ひとりの動きに注目しても、指先からすべて揃っており、ダンサーが目指すべき目標としても見ることができます。
バブリーダンスとは少し異なりますが、1980年代を代表する音楽と合わせて踊るという点では共通しています。
本記事では、バブリーダンスについて紹介しました。現代の若い世代の人にとっては、リアルタイムで経験したことがないバブル時代を象徴するダンスですが、今では動画などで簡単に見ることができます。
大阪の高校生たちがバブリーダンスを踊ったことで、日本のみならず世界中で知られるようになりました。バブリーダンスの特徴である派手なファッションとコミカルな動きによって、斬新さと面白さがあります。
宴会の余興としてもバブリーダンスは活用されているので、真似がしやすいことでも馴染みがあるのかもしれません。
この機会に、バブリーダンスを余興の場で披露してみるのもいいでしょう。