ダブステップダンスは「ダブステップ」という音楽ジャンルに合わせて踊るイギリス生まれのダンスです。イギリスで生まれたストリートダンスですが、アメリカで生まれたヒップホップダンスやファンクの文化を取り入れながらスタイルを確立したダンスジャンルです。
ダブステップ音楽はドラムと重低音のビートをきかせた音楽を意味する「ダブ」から由来しています。「ステップ」はダンスの動きやリズムと同様の意味です。つまり、ダブステップは新たなステップを指す言葉で、スローテンポのリズムのなかで重低音が響くという独特な世界観を持っています。他の音楽に見られるようなアドリブを利かせたリズムではなく、機械的な特徴を持つ電子音楽なので、ダンスではロボットのような動きで無重力感を表現します。
無重力感を身体で表現するためには以下のダブステップダンスの技術を身に付ける必要があります。
ダブステップダンスで必要な動きについて紹介します。
どのダンスにもバランスは必要不可欠ですが、特にダブステップダンスにおいては動きがスローなので、全身に力を入れないと動きが崩れてしまいます。体重が両足にかからないことが多く、スムーズな動きや途切れ途切れになるため、ダブステップダンスには揺らぎがありません。つま先立ちになったり、片足でバランスを取ったりする場面があるので、体幹を鍛える必要があります。
バイブレーションは音楽の振動を足で表現する動きです。多くのダブステップの音楽でははっきりと振動するようなリズムがアクセントで入っているので、この音が聞こえたらバイブレーションを行います。膝を曲げて、少しかがんだ状態になります。身体を少し上下に動かすように、上に向かって振動を表現します。バイブレーションは素早く動かすことがポイントで、音楽と一体になるようにリズムについていかなければなりません。腕や手は軽く振動するように動かすくらいでいいでしょう。
ダブステップの音楽はリズムの変化が激しいため、アクセントとして動きを止める「ストップ」を使います。ロボットのような動きをする場面で必ず「ストップ」を使いますが、見る側にとってはわからないくらいの停止なので、実際に停止したことは自分にしかわかりません。もし「ストップ」を見るなら、激しい動きからスローモーションに移るときに見分けられるでしょう。
「スローモーション」は名前のとおり、身体をゆっくり動かすことです。誰にでもできるようで実は難しい動きです。たとえば、目のまばたき、足が地面につく角度、手足の動きもゆっくりでなければ「スローモーション」とはいえません。体幹を鍛えることも誰にでもできますが、特に足の動きが難易度が高く、慣れるまで多くの時間が必要でしょう。先に足が地面につくと、つい全体重をかけたくなりますが、ダブステップダンスにおいては「スローモーション」は非常に繊細な動きが求められます。
ダブステップの音楽は全体的に不具合を意味する「グリッチ」と呼ばれています。動きが複雑なので、慣れていない人は音楽に合わせて頭を前後に動かすところから始めましょう。頭を4回ほど揺らすだけなので誰でも簡単にできます。慣れたら腕や首、頭を動かさないように膝を曲げながら1拍ごとに身体を少しずつ倒していきます。もっとレベルを上げると、腕を独立させて他の部分を動かさずにくねらせる動きにも挑戦してみましょう。
グライドではつま先を軸に全体重をかける動きです。グライドはバランスがかなり重要になります。地面をすべるような動きがポイントになるので、上手くすべれないなら靴を変えてみるといいでしょう。グライドの流れを説明すると、まず常に片足はつま先で立てている状態をキープしながら、もう片方の足は地面につけます。地面につけている足はかかとを上げて回し、もう片方の足は地面につけて内側に向け、手前にスライドする動きを繰り返すだけです。ポイントは膝を曲げる足はかかとを曲げている足になります片方のかかとが必ず曲がっているので、片方の膝も曲がっている状態が理想です。
ウェーブは他のストリートダンスにも見られる技で、身体を波打つような動きを見たことがある人も多いでしょう。基本的なウェーブにはアームウェーブとボディウェーブの2種類があります。いずれもアイソレーションや技を重視しています。最初はアームウェーブから始めましょう。腕を波打つときは、まず片方の腕を広げます。手を下に曲げ、ひじを上に曲げます。ウェーブというよりはアイソレーションに慣れていないと難しく感じるかもしれません。また、肩をすくめて一瞬だけ腕を広げます。もう片方の腕も同じように動かします。
ボディウェーブは胸から棒を引っ張るようなイメージで、肩を後ろに回し、胸が突き出してからウェーブを始めます。胸が突き出ていればいるほどいいとされています。さらに胸を引っ込めて、お腹、お尻の順番に出していきます。最後に座った姿勢で膝を足のつま先の上を重心にします。波打つ方向が逆でも同じように行います。
ブロステップダンスはダブステップダンスから派生したジャンルで、攻撃的な印象を与えるようなリズムを特徴としています。ブロステップという言葉自体、差別的な意味として考える人も少なくはありません。使用するにあたって注意が必要な言葉なので、特に海外では気をつけましょう。しかし、最近は落ち着いた雰囲気でオシャレなブロステップが人気のようです。
ダブステップダンスに使われる音楽は2000年代のイギリスのクラブで生まれたといわれています。暗めで重めの音楽ですが、ボーカルをメインにはせず、重低音のベースや機械的な音を組み合わせることで、振動の広がりを感じさせるような音が特徴です。実はダブステップの由来はレゲエからきています。正式なジャンルはエレクトリックダンスミュージックの一種に分類されます。
基本的に低音とゆがんだ効果音といった独特なサウンドを持ちます。ダブステップの音楽には必ずといっていいほどベースが登場しています。低音なしではダブステップが成り立たないことでも知られています。
ダブステップダンスはイギリスだけでなく、日本人ダンサーにも踊られています。たとえば、こちらのダンスYouTuberサイトウリョースケさんもそのうちの1人です。ダブステップダンスを知らなかったという人もこちらの動画を参考に身体を動かしてみるといいでしょう。部分的にロボットのような動きとスローモーションが取り入れられており、超人的な技が披露されています。ダンス経験者であれば、このような動きができるまで相当な練習時間が必要であることが想像つくでしょう。自分が知らないダンスのジャンルを知ることで表現の幅が広がるので、ぜひ取り入れてみましょう。
本記事ではダブステップダンスについて紹介しました。低重音のベースを利かせたダブステップに合わせて踊るのは簡単そうに見えても、意外と身体の動かし方を知らないと難しいダンスです。この機会に今回紹介したアイソレーションやバランスなどの技を基礎にダブステップダンスにも挑戦してみましょう。