フィギュアスケートはアイスリンクの上で音楽に合わせて演技を行うスポーツです。スケーターは個性を表現できるように芸術性を追求するのと同時に、高速回転やジャンプが行われるため、相当な練習量が必要でもあります。
日本人のフィギュアスケート選手も多く世界大会に進出し、メディアでもよく目にする人が多いかと思います。スケーターによって選曲や表現技法は異なり、オリンピックでも国籍が異なる選手たちの演技を見ることができる楽しみを持つ人もいるでしょう。
スケートは、もともとヨーロッパの運河が冬になると凍っていたことから、スケート靴を作り、滑走したことから始まりといわれています。
フィギュアスケートといえば、何かと話題のロシアのイメージがあるかもしれませんが、実はオランダで盛んです。最初に木製のスケート靴を開発したのもオランダ人です。
当初は移動手段としてスケートが認知されましたが、後にレジャースポーツとして発展したといわれています。経済的に豊かな貴族たちによって現代のフィギュアスケートになったようです。
「フィギュア」は氷の上に図形を描いて滑走することから、図形の美しさを競う種目として進化していきました。現代のフィギュアスケートでは、選手の演技力や技に重きを置いて採点を行っています。
日本では「下駄スケート」が原型だったようです。いかにも日本らしいスケートの楽しみ方ともいえます。フィギュアスケートでオリンピックを目指す選手たちは、最少3歳から習い事として始めた人が多く、20歳になるまでに多くの大会に出場していることがほとんどです。
また、他のスポーツ選手と同様にアスリートとしての面もあるため、毎日の食事管理やトレーニングは欠かせません。
さらに、海外遠征や長距離移動もあることから、経済的な側面ではかなり費用がかかります。
最近では、オリンピックで日本人選手の活躍を目にすることが多いでしょう。ひと昔前までは、ロシアや欧米のレベルが高く、日本人選手も海外のコーチに弟子入りするほどです。
金メダルを獲得した日本人選手が増加していることから、これからもフィギュアスケートに対する注目が集められるでしょう。
フィギュアスケートには、男女それぞれのシングル・ペア・アイスダンスの3つの種目があります。
それぞれルールは異なりますが、選手たちに必要なのは表現力に変わりはありません。世界で活躍する選手たちは幼少期の頃からスケートを始め、体操、バレエ、ダンスなども習っていた人ばかりです。
演技中の技を見ていても、身体の柔らかさが目立つと思いますが、同時に高速回転ジャンプをするための筋力が必要といわれています。
バレエと似ているように見えても、両者には大きな違いがあります。まず、バレエでは身体を真上に引き上げて高い位置に重心を置きますが、フィギュアスケートでは膝を曲げて重心を下に維持する必要があります。
摩擦が少ないアイスリンクでパフォーマンスを行うときは、常に滑走しなければならないため、重心を足に持っていきます。もちろん、身体の姿勢も綺麗に見せる必要があるため、テレビでよく見る選手たちは過酷なトレーニングを積み重ねていることがわかります。
公式競技会では、ショートプログラムとフリープログラムの2度の演技が行われます。
アイスダンスではそれぞれショートダンス、フリーダンスと呼ばれているので、混合してしまいがちですが、基本的にはこの2つです。
正確に分けると、男子シングル、女子シングルの2つになります。決められたショートプログラムと自由に演技内容を構成できるフリースケーティングの2構成で成り立っています。
フィギュアスケートの大会では、クラシック音楽がよく使用されており、拍の取り方や見せ場もあるため、バレエと共通している部分はあります。
しかし、華麗に演技を披露できるようになるまでの費用や時間の価値は決して安くはないため、両立が非常に難しく、辞めるタイミングがわからない人も多いようです。
さらに、外国人コーチの元でレッスンを受けるために遠征や厳しいトレーニングに耐える必要があることから、選手たちはかなり強靭なメンタルを持っています。
日本人選手でいえば、浅田真央選手や羽生結弦選手が有名ですね。
ペア競技には、シングルにはない以下の必要な要素が4つあります。
・ツイストリフト
・リフト
・デススパイラル
・スロージャンプ
まず、ツイストリフトでは男性が女性を頭上に高く投げて、回転して降りて来る女性を受け止める技です。女性の回転数などで難易度が決まるといわれています。
しかしながら、難しい技なので怪我のリスクもあります。男女の息が合っていなければ出来ない技の1つです。
2つ目のリフトでは、男性が腕を伸ばした状態で女性を持ち上げる技です。流れとしては、持ち上げられたときの女性の姿勢、支える位置、片手・両手、女性が降りてくるときの変化の付け方などで難易度が判定されます。
また、デススパイラルでは、男性が円の中心の軸になって片手で女性を支え、女性は身体を横に伸ばした状態でコンパスのように円を描きながら滑る技です。
立ち位置、技への入り方などで難易度が決まります。男性の体幹の強さや筋力がなければ、成し遂げられない技ともいえます。
そして、スロージャンプでは、女性がジャンプするタイミングに合わせて、男性が女性の腰を支えて投げるように着地する技です。
ジャンプの種類はシングルと同様ですが、男性の力が加わることで、高さと距離が出る分だけ難易度も高くなります。
アイスダンスにはジャンプがありませんが、滑走の技術をより強調させる要素が細かく設定されています。
そのなかでもダンスリフトが特徴的で、ペアのリフトとは異なり、パートナーを男性よりも高く持ち上げない、男性の肩や背中にパートナーを乗せることは禁じられています。
ダンスリフトには、6秒以内のショートリフトと12秒以内のロングリフトの2種類が認められています。
ペアダンスは活発なイメージですが、アイスダンスは優雅なイメージが強いでしょう。
オリンピックの時期になると、テレビなどでフィギュアスケートの解説を聞きながら生中継していることが多いですが、リアルタイムで技の解説を聞くことがあると思います。
技は大きく分けて、ジャンプ、スピン、ステップの3つです。技は勝敗を決める重要な要素なので、選手たちは限られた時間内のために数年間かけて練習をしています。
採点方法は、演技種目によって異なりますが、選手たちにとっては1点減るだけでかなり大きいダメージを受ける世界です。
演技の時間、技、採点方法について詳細を説明します。
フィギュアスケートのシングルでは男女年齢によって異なります。
たとえば、男子の場合はシニア・ジュニアともに4分間で、10秒前後の幅は認められています。また、女子の場合はシニアが4分間、ジュニアが3分30秒と決められています。
意外と短い時間ですが、そのなかで華麗な技を披露するには相当な練習量が必要ということが分かります。
さらに、ペアになると2分40秒と短くなるので、かなり難易度が高くなりますが、見る側にとってはかなり見ごたえがあると思います。
フィギュアスケートの技は全世界に共通しているので、覚えておいて損することはないでしょう。
まず、ジャンプは成功と失敗を明確に判断がしやすい技で、選手の総合評価を大きく左右する重要な要素です。
アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トゥループの6種類があります。どれも聞いたことがあるジャンプだと思います。
高速回転するスピンには、まっすくに直立したスピン、しゃがんだ状態のスピン、片足とアイスリンクを平行の位置を保つT型のスピンの3種類があります。
そして、ダンスのようにステップやターンを多様に披露するステップでは、レベル1から4まで評価されます。
どれも見たことがある技だと思うので、オリンピックのフィギュアスケートを見る機会があれば、じっくり見てみるといいでしょう。
採点競技のフィギュアスケートでは、ジャンプ、スピン、ステップの3つと、スケーティング技術やパフォーマンス、構成、音楽、トランジションの5項目で評価します。
技術点と演技構成点の2つの合計で決まります。転倒やルール違反があれば、もちろん減点されます。最近では、ドーピングによる失格もあることから、かなり厳しくなっています。
ちなみに、シニアの転倒は1~2回で1点、3~4回で2点、5度目からは3点の減点です。
1回でもミスすると、ライバル選手との差がかなり大きく、メダルの獲得に影響を及ぼすくらい繊細なスポーツともいえるでしょう。
フィギュアスケートの知識を入れてから、選手たちの演技を見ると見方も変わると思います。
改めて見返すと、わずかな時間のなかで華麗な技を披露していることが分かります。選手たちは数年間の時間をかけて、この一瞬のために過酷な練習を続けています。
これはフィギュアスケートだけでなく、他のダンスでも同じことがいえるので、世界進出する選手たちのレベルを見てみるといいでしょう。
2022年2月に開催された北京オリンピックの世界フィギュアスケート選手権では、通称「りくりゅう」ペアが活躍していました。
息がぴったりな2人の演技は見る側にとっても楽しめる見事な技を披露しています。ペアダンスならではのアクロバティックな技が特徴です。
かなり難易度が高い技も見事に成し遂げ、観客を魅了していました。
結果は7位に入賞し、自己ベスト更新しました。2人にとってはメダル獲得でなくとも、かなり嬉しいことだったようです。
高橋大輔選手と村元哉中選手のペアは、世界フィギュアスケート選手権でアイスダンスを披露していました。
アイスダンスでは、ペアダンスとは違いパートナーを持ち上げるリフトが多用されています。
その分、より優雅な表現で舞踏会のような雰囲気を作り上げています。結果は15位でしたが、今後の活躍が注目されています。
今回は、フィギュアスケートのペアとアイスダンスの違いからルールまで解説しました。
今まで何となく見ていたフィギュアスケートも、次からは違う角度から見ることができると思います。
フィギュアスケートといっても、シングル、ペア、アイスダンスと種類があり、それぞれルールも異なります。
好きな選手がいたら、その選手が出場する演技種目に注目してから見ると面白くなるでしょう。