日本人YouTuberがジョージアの現地で民族舞踊のダンサーとして活躍していることをご存知でしょうか?こちらは日本人初のジョージアンダンサーのノグチ・マサフミさんです。もともとは劇団四季の舞台俳優として活動されていましたが、ジョージアンダンスの修業のためにジョージアに渡航したようです。我々、日本人にとってはジョージアという国についてあまり知らない方も多いかもしれません。
ジョージアはロシアの隣国で、ワインの名産地としても有名です。日本人には馴染みのない国ですが、こちらのノグチさんはジョージアの文化をYouTubeを通して発信されています。ノグチさんが踊るジョージアンダンスはアメリカのストリートダンスとはまた違うスタイルのダンスで、超人的な民族舞踊としても知られています。まずは動画でジョージアンダンスを見てみるといいでしょう。そのあとに特徴や種類について紹介していきます。
ジョージアンダンスは地域ごとにスタイルが異なる民族舞踊で、多様性のある文化を反映しているといわれています。ダンサーたちの衣装も地域ごとに特徴が異なり、中世の民族衣装をまといながら踊ります。また、ジョージアンダンスには男女ごとに意味があります。女性は優雅さと美しさを表し、男性は勇気や名誉を表現しています。男性ダンサーはジャンプやターン、高速スピンをメインに踊ります。男性が履いているブロックシューズの補助なしでつま先で踊るといった独創的なテクニックを持ちます。一方で、女性は白鳥が滑るようなダンスが特徴です。ジョージアンダンスにはさまざまな種類がありますが、後ほど詳しく紹介する「ケヴスルリ」は有名なスタイルの1つです。
「ケヴスルリ」では、求愛するカップルの邪魔をする男が現れ、2人の男との戦いを表現しています。女は2人の男の間にベールを投げると争いが収まるストーリーです。しかし、その女がいなくなると再び戦いが激しくなり、最後に女が登場し、またベールを脱いで争いを止めるといった結末になります。ケヴスルリでは勝敗を明確にしない踊りが求められます。誰も傷つけない難易度の高いテクニックが必要です。他にも意味深いジョージアンダンスがあるので、次に代表的なスタイルを紹介します。
ジョージアダンスはおもに16種類あります。
それぞれ動画と一緒に特徴を紹介していきます。
カルトゥリはロマンチックな結婚式を表現しているスタイルです。基本的に男女カップルが演出します。カルトゥリではダンス中に、男性は女性に触れることは禁じられており、ダンスパートナーから一定の距離を保つルールがありますそして男性の上半身は動かさずに、自分の感情をコントロールしなければならないことを表現しています。男性は世界にたった1人しかいない女性であるかのようにパートナーに視線を集中させます。逆に女性は常に目を伏せながら、湖面の上を飛ぶ白鳥のように床を滑るように歩きます。
優雅でロマンチックな求愛のダンスはジョージアでも有名なダンスです。また、カルトゥリでは男女間の騎士道精神を表現しているといわれています。男性が女性を誘うことで女性が自分の家庭を出て、男性の家庭に入ることを象徴しています。ルールが重んじられるダンスなので、ジョージアンダンスのなかでも難しいようです。
ホルミは男性がメインで踊る戦争をテーマにしたダンスです。舞台では30~40人くらいの集団で踊ることが主流で、兵士の勇気と勝利のお祝いを表現しています。ジョージアでは何度も戦争を経験していることから、平和と戦争は表裏一体であり、平和を維持するためには戦争に備えなければならないことを国民に伝えるために発祥した民族舞踊です。
キャンプ場の探索から敵陣の偵察、戦い、勝利、お祝いの構成でストーリーが始まります。全体的に力強いパフォーマンスが特徴で、伝統的な楽器が奏でる音楽に合わせて5拍子のリズムで踊られます。男性的な要素が強いダンスなので、迫力を感じられるでしょう。
アジャルリはジョージアのアジャラ地方が由来のダンスで、カラフルな衣装とシンプルでわかりやすい踊りが特徴です。男女の動きが舞台上で繰り広げる遊び心が軽快な雰囲気を出しています。伝統的で規律があるようなダンスとは違い、カジュアルで男女のじゃれ合いを表現しています。
パルサは太鼓のリズムに合わせて、大人数の男女がフォーメーションを作りながら踊るダンスです。お祭りのような雰囲気でスピードのある動きと優雅さを楽しめます。女性たちを囲むように男性たちが輪になったり、ソロのダンスを披露したりとテンポの速さがしっくりきます。女性は白い衣装で、男性は黒をベースとした赤の衣装をまといながらパフォーマンスを行います。
カズベグリはジョージアのコーカサス山脈にある地域発祥のダンスで、冒頭から大ジャンプを披露しています。山岳地帯の荒々しい寒さを表現するために創作された踊りで、勢いと厳格な雰囲気の動きとステップで表現します。おもに男性ダンサーによって演じられており、高速スピンや足技がみどころです。
カンジュルリは羊飼いたちの競争を表現しているダンスで、伝統的な男性衣装である赤いチョーカをまとった羊飼いたちが短剣の使い方や複雑な動きを競い合います。ダンスと一緒に短剣が使用されるため、ダンサーたちは多くのトレーニングが必要とされています。
ケヴスルリは「山のダンス」とも呼ばれており、愛や有機、女性への経緯、競争、美しさ、カラフルな要素を1つのパフォーマンスとして統合されています。ケヴスルリでは男女カップルを邪魔する男性が登場することで戦いが繰り広げられるストーリーです。伝統的なケヴスルリでは2人の男性が戦いますが、1人の男性が3人を相手に戦うこともあるようです。しかし、このストーリーの結末は観客にはわからない終わり方をすることが特徴です。
ムトゥルリもケヴスルリと同じ山の踊りで、似たような要素がありつつも、男性ダンサーのグループが2つに分かれて技を披露する祭典のようなダンスです。最初はグループ同士が複雑な技を披露しあう戦いを繰り広げ、女性が踊り、ソロでアクロバティックな要素のある技を披露していきます。最後が全員でフィナーレを迎えるといった構成です。
シムドの衣装は長袖が特徴的で、男女ともに高さのある帽子をかぶっています。基本的に男女カップルによって披露されるダンスで、黒と白の衣装による色のコントラストとフォーメーションの美しさにあるとされています。女性は床を滑るように歩き、男性はつま先で歩いているので足元に注目してみてください。
キントゥリでは、中世のジョージアの首都トビリシにおける生活を描いています。トビリシの商人「キントー」が由来で、銀色のベルトからぶら下げているショールを取って、野菜や果物の重さを量ったといわれています。ダンサーたちも赤いショールを使ったダンスを披露しており、軽快なリズムと踊りが特徴です。
サマイアは3人の女性が踊るダンスで、かつてのジョージアの女帝を表現しています。具体的には若い姫、賢明な母、強力な女帝の三位一体を表しています。女帝の絵は現在4枚しか残されていないため、絵をもとに女帝の衣装を再現しているようです。ほかのダンスとは異なり、優雅でシンプルな動きですが、栄光と権力の雰囲気を演出しています。
ジーラニは魔法のメス鹿を狩るストーリーを表現したダンスです。古典的なバレエの動きと狩りのシーンが盛り込まれており、1人の女性ダンサーを中心に男性たちが取り囲むように演出しています。
カラチョヘリはジョージアの職人が由来で、かつては黒い伝統的な衣装を着用していたようです。彼らは勤勉でありながら、自由気ままな生活とワイン、そして女性を愛することで知られており、カラチョヘリでですべての要素が表現されています。
ダヴルリも都市で発展したダンスですが、キントゥリやカラチョクヘリとは異なり、貴族を表現しています。ダヴルリの動きは複雑ではなく、男女の関係も堅苦しさがないことが特徴です。多くのカップルによって踊られ、壮大な音楽とカラフルな衣装によって、貴族の宴を演出しています。
ムケドルリは騎兵の意味を持ち、全体的に荒々しいテンポでダンスが始まります。終盤になるにつれてだんだん激しくなり、ダンサーたちの足は馬の動きを模倣しているため、ジャンプを披露することもあります。身体や腕の動きは敵との戦いを真似ているようです。
パリカオバは戦士の踊りです。ストーリーは少女が最愛の人を探して入ってくるところから始まります。そこに男性が現れ、剣と盾を使った戦いが繰り広げられます。少女が頭の飾りを投げ捨てると男性たちは伝統に従って立ち止まるが、再び戦いが始まるといったストーリーです。
今回はジョージアンダンスの特徴と種類について紹介しました。ジョージアンダンスには地域によってさまざまな種類が存在し、演出やストーリーの違いも楽しめると思います。馴染みの浅いジョージアでも日本人がダンサーとして活躍していることから、今後も注目が集まりそうですね。