常夏の島ハワイの伝統的なダンスである「フラダンス」は、世界で一番美しい踊りとして知られています。
ハワイといえば、花の飾りが印象的なフラダンスをイメージする人も多いでしょう。そもそも「フラ」はハワイ語で踊りの意味を持ち、私たち日本人は「フラダンス」で定着しています。
フラダンスには演奏、歌、セリフが含まれており、曲を2回ずつ、歌のコーラス部分を2回繰り返すことが一般的です。理由として、歌の内容を相手に伝えやすくするために行われています。
かつてのハワイ王国のカラカウア王は「フラは心の言葉、ハワイアンの鼓動」という言葉を残しており、フラダンスはハワイアンにとっては重要な表現方法だったようです。
フラダンスは現代的な「アウアナ」、古典的な「カヒコ」の2種類にわけられます。
アウアナは、老若男女問わず、誰でも自由に楽しむことができるスタイルで、対してカヒコは、もともと神に捧げるために修行を行った男性のみが踊ることができるスタイルです。
現在では、女性でも踊ることは可能ですが、伝統的なスタイルということもあり、振り付け、衣装、楽器などには厳しいルールが存在します。
親しみのあるアウアナと比較すると、カヒコは力強い印象があります。つまり、フラダンスは歴史を伝えるダンスとしての役割もあるようです。
フラダンスにはハンドモーションと呼ばれる動きがあります。振り付けの一つひとつに意味が込められており、先述したようにハワイアンにとっての表現方法ということもあり、ダンスを通じて相手に想いを伝えていたようです。
今回はフラダンスの以下の振り付けの意味を紹介していきます。
アロハといえば、ハワイでは挨拶のシーンでもよく使われている言葉なので、聞いたことがあるでしょう。
アロハには挨拶の意味だけでなく、思いやり、調和、謙虚、忍耐といった複数の意味を持った言葉です。
フラダンスにおいては、人前で踊るため、自分の見た目だけでなく、人間性もさらけ出すことになります。つまり、自分の人柄がもっとも出やすいダンスともいわれています。
アロハの具体的な振り付けは、手のひらを下に向けて広げた両手を胸の前でゆっくりクロスさせる動きです。愛する人を抱きしめるようなイメージで自分を包み込みます。
「ナニ」はハワイ語で「美しい、光栄、かわいい」といった意味を持ちます。
フラダンスのなかでも、人やモノ、自然の美しさを表現するときに使われています。
ナニの振り付けは、手のひらを内側の状態で両手を上から下に降ろします。ゆっくりと伸ばすように動かすことがポイントで、美しさを表現するようなイメージで動かします。
「オエ」は、「あなた」という意味を持ちます。ハワイの代表曲である「アロハ・オエ」も「さようなら、あなた」とも読めるでしょう。ちなみにこの「アロハ・オエ」は、ハワイ王国の最後の女王リリウオカラニが退位したときに、国民への別れの歌として歌ったという言い伝えがあります。
オエのハンドモーションにはいくつかのスタイルがありますが、一つ具体例として挙げると、片方の手は胸を当て、反対側の手は手のひらを下にした状態で斜め前に伸ばす動きです。
そして人差し指で軽く指差します。両手を伸ばすパターンもあるので、バリエーションが多い振り付けの1つです。
ハワイの音楽でも頻繁に「クウ」という言葉が使われており、愛しさを持つように「私の、自由の身にする、手放す」という意味を持ちます。
クウは手のひらを自分の方に向けて、両手を胸の前に持っていく動作です。
自分を大切にするといった表現としても捉えることができます。
「レイ」といえば、ハワイアンが首から下げる彩り豊かな花の飾り物としても知れられています。
ハワイでは、感謝や歓迎の気持ちを込めてレイを送る習慣があり、お祝いの場でもよく使われている伝統的な文化です。
本来は、魔除けや供え物、社会的地位の象徴として使われたとされ、近代になるにつれて移住者や旅人によって持ち込まれたカーネーションや、ジャスミン、プルメリアなどを利用するようになりました。
「プア」は「花、子ども、愛する者」の意味が込められているため、英語の「Poor(貧しい)」と間違えないようにしましょう。
ハワイの音楽やフラダンスの曲のなかでも頻繁に登場しており、意味のとおり、振り付けでも表現します。
具体的には、手のひらを下に向けた状態で、手のひらを返しながら指で花のつぼみを表現することもありますが、手の出し方にも色んなスタイルがあるので、これといった決まりがありません。
ちなみに音楽のなかでは、「花のように美しいあなた」といった意味の歌詞が多く使われています。
「ウア」はハワイ語で「雨」の意味を持ち、実際に振り付けも雨のように指をパラパラさせます。
もっと細かくいうと、両手を斜め上にあげた状態で、人差し指をパラパラと動かして雨が降っているように降ろしていきます。ポイントは降ろすときに斜めに傾けることです。
真下に下すと、滝のハンドモーションになるので、明確に違いをわけるようにしましょう。
「マカニ」は「風」の意味で表現されており、ハンドモーションの大きさによっては「強い風」の表現にもなります。
マカニでは基本的に両手で頭の上をなでるように回転させる動作を行います。
風が吹く様子は両手を大きく動かして表現するといいでしょう。
ちなみに、よくフラダンスで見かけるハンドウェーブは具体的なハンドモーションの意味はありませんが、振り付けのつなぎとして使われることが一般的です。
ハワイでは虹をよく見かけることが多く、実は虹の女神が住んでいるからといわれています。
ハワイ語では「アヌエヌエ」と呼ばれており、見る者を幸せにするといわれている虹を頭の上で両手を合わせながら、橋の形を表現します。
虹の女神アヌエヌエは、ハワイ神話の大神の兄弟で、メッセージを伝える役割を担っていると言い伝えられています。
世界でもっとも美しいフラダンスを習得するためには、基本ステップを学ぶ必要があります。
今回は、代表的なステップについて紹介していきます。
「カホロ」と呼ばれるステップは、左右に2歩ずつ横歩きする動きになります。あとで紹介するフラダンスの基本姿勢と動作となる「カオ」の基礎が必要です。
最初のうちは、右に進む「右カホロ」から練習していきます。
「右カホロ」の順番は以下のとおりです。
重心移動が難しいと感じる人も多いかもしれませんが、正しく練習すれば習得ができるようになります。
「カホロ」のポイントは、肩幅くらいの歩幅を意識することと、なるべく真横に移動するように意識することです。
理想は、足元を見なくても真横に移動できることでしょう。
「カオ」はフラダンスの基礎となる腰と足の使い方を学べるステップです。
基本的に膝を左右交互に踏み、腰は足のあとについていくように動かしますが、腰は左右に振るのではなく、足を重心に腰を押し上げるイメージになります。
カオのポイントは、へその位置を変えないことです。
カオができないと、他の振り付けができないともいわれているくらい需要なステップなので、身体に覚えてもらうくらいまで練習が必要です。
練習するときのコツは、上半身を動かさないことはフラダンス全般において基本で、鏡などでチェックしながら行うことです。
「ヘラ」は基本姿勢による左右の足の間の距離をキープした状態でまっすぐ足を差し出します。
基本的に足の裏は全面、床につけますが、先生によってはつま先のみの場合もあるので、確認しながら練習しましょう。
「ヘラ」は以下の順番に行います。
膝が曲がっていると、迫力に欠けたような印象になるので、なるべく一直線になるように意識することがポイントです。
実際にダンス大会で披露されたフラダンスを見てみるとイメージがつきやすくなります。
今まで紹介したステップを踏まえて見ると、姿勢をキープした状態で腰を動かしていることがわかります。
さらにハンドモーションの意味も理解していれば、より面白く見れるでしょう。
本記事ではフラダンスについて紹介してきましたが、振り付けの一つひとつに意味があることがわかったと思います。
ハワイのフラダンスを何となく知っている人でも気軽に始められるダンスなので、この機会に学んでみると面白い発見があるかもしれません。