ニュージャックスイングダンスはヒップホップダンスの1つで、1980年代のアメリカで流行したニュージャックスウィングという音楽ジャンルに合わせて踊ります。当時の大ヒット曲「I Want Her」でまったく新しいR&Bのリズムが人気となり、ダンスブームを巻き起こしました。それ以来、現代でもダンサーの間ではヒップホップダンスの登竜門として知られています。基本的に1拍6連もしくは3連のビートの音楽を使用します。
今でいえば、少し昔の懐かしみのあるアメリカンなヒップホップダンスのような印象でしょう。日本でもダンスファンは多くいるので、ダンススクールやコミュニティを探してみるといいかもしれません。また、踊るときの服装は動きやすく、ゆるやかでカジュアルな格好が主流のようです。最初から服装にお金をかけなくて済むので、興味ある人は動画を見ながら練習してみましょう。
ニュージャックスイングダンスの振り付けはシンプルなので、他のヒップホップダンスに見られるようなアクロバティックな動きはありません。しかし、シンプルとはいえども躍動感のある振り付けが特徴です。
また、素早いビートに合わせて踊るため、身体もついていけるようにダンスの基礎をしっかりと身に付ける必要があります。ある程度、ヒップホップダンスの基礎を理解している人であれば、慣れるのが早いので挑戦してみてもいいでしょう。
ニュージャックスイングダンスは初心者の人よりはダンス経験者向きのジャンルです。見ている側もリズムに乗りたくなるようなキレのある動きは必要不可欠でしょう。
ニュージャックスイングダンスは終始ビートが一定の速さであることがほとんどなので、身体全体でリズムを感じながらステップを踏んでいきます。足のステップが中心の動きが多いため、ステップのパターンを覚えればコツを掴むことができます。
ダンス経験が浅い人にとっては、ニュージャックスイングダンスの前ノリが難しく感じるかもしれません。だからこそ楽しく踊るためには、アイソレーションでダンスの基礎を身に付ける必要があります。
ニュージャックスイングの音楽があってのダンスなので、ここで少し詳しく紹介します。
ニュージャックスイングはブラックミュージックと呼ばれる、アフリカ系アメリカ人から発祥したノリの良いリズムのグルーヴ感を保ちながら、スピード感と親しみのあるメロディを強調する音楽です。特に黒人の若者たちを中心に人気を集めていました。ニュージャックスイングの曲中にはヒップホップ音楽に見られるラップを取り入れたことで、ヒップホップソウル音楽が誕生するきっかけにもなったようです。また、ヒップホップ特有のダンスや服装、ストリート文化が発信されたことで、白人の間でも一目置かれていました。
ニュージャックスイングはやがてアメリカ全土だけでなく、ヨーロッパや日本にも広まったことで現代では世界中に知られています。誕生した当時は、ヒップホップとR&Bが融合したまったく新しい音楽で、ユニークでリズム感のあるドラムが特徴的であることから覚えやすいメロディラインが良かったのでしょう。現代ではヒップホップとR&Bは似たような音楽のイメージが強いですが、ニュージャックスイングが登場するまではいずれも明確に区別されていました。しかし、ニュージャックスイングが融合したことで壁がなくなったことで、多様性のあるジャンルとして進化しています。
ニュージャックスイングにラップと魂のこもったソウルフルな歌声が入ることで、明快なアップビートと重いベースラインを特徴としたスタイルは音楽界の革命とも呼ばれていました。さまざまな要素をぎっしりと詰められたキャッチーなメロディと、ダンサーのカラフルな衣装といったインパクトのあるミュージックビデオが時代の象徴ともいえるでしょう。
ニューヨークの貧しいストリートから生まれた背景を持つニュージャックスイングのヒットは、今からわずか30年くらい前の出来事です。アメリカからの影響を強く受けている日本でもヒットを起こしたのはもちろんのこと、アップテンポのビートは多くの若者たちが夢中になるような要素があったのでしょう。
先述したとおり、ニュージャックスイングはヒップホップダンスの1つですが、つまりヒップホップダンスには次のような複数のジャンルがあります。
ヒップホップダンスに詳しい人はそれぞれどのようなダンスジャンルなのか知っていると思いますが、ジャンルごとに異なる特徴を持ちながらも基礎の部分は共通しているので、いずれか経験していればニュージャックスイングも踊れるようになります。特にニュージャックスイングはダンスに慣れていないと踊るのが難しいスタイルなので、ヒップホップダンスの難関でもあります。
ニュージャックスイングは1980年代にニューヨークのハーレムに住む不良の若者たちが踊るヒップホップとR&Bの間にあった境界線をなくしたことでも知られている音楽です。特にラップをメロディに乗せて歌うスタイルを積極的に取り入れたスタイルは、今ではよくJ POP音楽でもありますが、ニュージャックスイングの流行があったからこそだといってもいいでしょう。ニュージャックスイングダンスでは、ブレイクダンスやロックダンスなどヒップホップダンスのベースとなるステップが見られるため、強い影響を受けていることがわかります。比較的、近代的なブラックミュージックとして大きなブームを巻き起こし、境界線を飛び越えた状況が当たり前の価値観を生み出しました。
しかし一方で、ニュージャックスイング音楽が適当に多く作られたために市場からは飽きられる時期が来るのが早く、1990年になると流行も過ぎ去ったことで第一人者のテディー・ライリーも他の方向性に転換しています。2000年代ではブリトニー・スピアーズやブルーノ・マーズが曲を発表したことで再び注目が集められているようです。根強いファンによってダンスフロアでも踊られていることから再評価されていることでも話題になっています。
こちらの動画では、日本のダンスクルーOne Nation Under a Swingがニュージャックスイングダンスを踊っています。ノリの良い音楽とわかりやすい振り付けが特徴です。
ニュージャックスイングダンスは日本でも1990年代に入ってから流行しています。日本の有名なアーティストでいえば、ZooやClub DADAが代表的です。また、当時のヒット番組であるダンス甲子園もニュージャックスイングの時代を象徴するものといえるでしょう。
さらに、EXILEが「ニュージャックスイング」という曲を発表していますが、これはまさにニュージャックスイングを指しています。何となく聞いたことがあるような音楽でも実はニュージャックスイングの要素が含まれていたりするので、意外と身近な音楽ともいえます。
本記事ではニュージャックスイングダンスについて紹介しました。ヒップホップダンスは何となく知っているけどニュージャックスイングダンスについて知らなかったという人も違いがわかったかと思います。また、ヒップホップダンスの経験者であれば、この機会に難関であるニュージャックスイングダンスに挑戦してみるといいでしょう。