日本では比較的年代が高い人たちが習うダンスとしてイメージが強く、若者たちはヒップホップダンスやバレエを習う人が多い印象があります。
そもそも社交ダンスは何のために踊るのかご存知でしょうか。
海外では舞踏会で踊られてきたことから「ボールルームダンス」と呼ばれており、レディースとジェントルマンのダンスとして知られています。
社交ダンスは競技ダンスとしても盛んで、実は毎日のように世界中でダンス競技会が開催されているほど人気です。
スポーツ要素が強いダンスですが、フロアではマナーが求められることもあります。
たとえば、日本より観客の目が厳しいヨーロッパのダンス競技会では、他のカップルと衝突したり、転倒したときの立ち振る舞いに視線が集まります。
予想外のハプニングは付き物と考えており、起きたときの処理に美しさがあれば、競技中であっても拍手が起こるほどです。
観客にとっては、心身ともに人間性が磨かれたダンサーたちの姿を見ることも競技観戦の楽しみとされています。
日本では社交ダンスのことを「ソシアルダンス」とも呼ばれており、両者は同じ意味です。
言葉のとおり、社交のために踊られるダンスで、海外では基本的に夫婦が同伴で行動し、地域の付き合いで親交を深めるために踊られることもあります。
しかし、英語では「ボールルームダンス」と呼ぶため、社交ダンスの英訳と間違えられることもしばしば。
ソシアルダンスはいわゆる和製英語なので、海外では残念ながら通じません。
一時期、日本でも社交ダンスをモチーフとした映画が大ヒットしてから注目されてブームとなり、オリンピック種目としての採用も目指しているようです。
ちなみに、社交ダンスは現役ダンサーたちにとっては「ボールルームダンス」や「競技ダンス」と呼ぶ人もいるため、競技として本格的に練習している人と趣味として楽しむ人とで呼び方が変わるようです。
競技ダンスはダンスを楽しむだけでなく、華麗な技を競うスポーツという認識を持つといいでしょう。
社交ダンスと競技ダンスはスポーツであるかどうかで違いがあるため、社交目的か競技目的の2つに分かれるダンスともいえます。
社交ダンスはスポーツとしてルール化する必要があることからスタンダードでは以下の種目に限定しています。
社交ダンスはヨーロッパで確立されたダンスで弦楽器系のクラシック風の音楽が特徴です。
スタンダードでは、男女が近接しながらペアで踊るダンスで、モダンとも呼ばれています。
それぞれ紹介していきます。
ワルツは誰もが聞いたことがある言葉でしょう。社交ダンスの代表的な種目の1つで、3拍子のゆっくりとした曲調に合わせて、大きく回転しながら踊ることが特徴です。
ワルツでは大きなスイングとライズ・アンド・フォールと呼ばれる上下運動が主な技です。
一般的に、社交ダンス初心者の人はワルツから始めることが多いとされています。
タンゴもテレビなどで見たことがあるかもしれません。社交ダンスのなかでは日本人が得意とするダンスともいわれています。
タンゴの発祥地はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで、スタッカートを特徴とする音楽に合わせて踊られます。
例えるなら、陽と陰のような、スピードの緩急が魅力の情熱的なダンスです。
スローフォックストロットはあまり聞いたことがない人も多い種目ですが、ゆったりとした4拍子の音楽に合わせて踊るダンスです。
正確なステップが要求される上級者向けのダンスで、ジャズ音楽とも相性がいいので、レベルアップしたい人におすすめです。
柔軟に膝や足首を使い、リズミカルに踊るため、ゆったりとした動きではごまかしが効かないダンスとして難しいと感じる人も多いようです。
クイックステップは名前のとおり、飛んだり跳ねたりする技がメインで、スタンダードのなかでも一番元気な踊りです。
見る側にとっても思わず明るい気分になるようなダンスとしても人気です。
スピード感のあるステップと優雅な動きが求められるので、カップルのコンビネーションがポイントになります。
ヴェニーズワルツはウィンナーワルツとも呼ばれており、オーストリアのウィーンの宮廷文化で確立されたスピード感のあるダンスです。
3拍子のリズムで速い回転が特徴で、ダンサーたちも目が回ってしまうほどです。
ヴェニーズワルツは伝統的なダンスで、決められた4つのステップ以外は禁止されています。
社交ダンスにはスタンダードの他にラテンアメリカのジャンルもあります。
キューバやブラジルなどのラテンアメリカでは、打楽器系のリズムと情熱的なダンスが特徴です。
技の動きがとにかく速く、ホールドしたり離れたり、回転も多いのでさまざまな変化を楽しめるジャンルです。
ラテンアメリカダンスの種目は以下の5つです。
こちらも順番に紹介していきます。
特徴的な名前のチャチャチャは、男女間の駆け引きを表現したオシャレなクラブダンスです。
キューバ発祥のダンスで、軽快で歯切れのいいリズムなので、スピード感があり、メリハリがある種目です。
基本的な動きは後ほど紹介するルンバとも似ていますが、チャチャチャの方が非常に速いリズムが求められます。
サンバも有名なダンスで、ブラジル生まれの陽気なアップテンポが特徴です。
ブラジルらしい灼熱の太陽、果てしなく鳴り響く打楽器のリズム、リオのカーニバルのイメージが印象的の楽しいダンスです。
社交ダンスのサンバは、ブラジルのサンバを競技用にアレンジしており、サンバ特有の弾むような動きがメインになります。
また、フロアを反時計回りに移動しながら踊ることもポイントです。
ルンバといえばあの掃除機をイメージする人が多いかもしれませんが、実はキューバ発祥のダンスです。
サンバと間違えてしまう人も多いですが、比較的ゆったりとしたリズムで男女の心を表現しています。
愛の葛藤や駆け引きを表現することから「愛の踊り」ともいわれており、ラテンアメリカダンスのなかでは一番覚えやすいステップです。
基本的に4拍子ですが、2拍目から踊り出すことがポイントです。
パソドブレはスペインの闘牛をモチーフとしたドラマチックなダンスです。見せ場であるポーズをきめることが特徴です。
男性はマタドールと呼ばれる闘牛士、女性はケープという赤い布や牛、あるいは移動型民族を表すジプシーになった気分で踊ります。
パソドブレは簡単にいえば、闘牛とフラメンコをダンスにしたイメージです。
ソドブレ以外のラテンアメリカダンスでは、女性が主役として引き立てられますが、唯一男性が主役になれる勇ましいダンスです。
ジャイブはアメリカ生まれのファンキーでハッピーなダンスです。具体的にはスウィングやリンディホップなどの楽しい要素があります。
アップテンポの音楽に合わせて、素早いステップを踏むダンスなので、運動量が非常に多いことからパーティーでは踊られる機会が少ないでしょう。
ジャイブはダンス競技会でも上級戦でしか実施されないので、あまり目にすることも少ないかもしれません。
ジャイブでは、ロックやスイング系の音楽が使われるため、社交ダンス初心者の人でも入りやすい種目です。
社交ダンスが幅広い年代に受け入れられている理由にはアクロバティック技がなく、基本的なステップだけで楽しく踊れるといった点にあるようです。
基本的にペアになって踊るため、社交という意味では誰かと一緒に何かを成し遂げるという楽しみもあります。
身体が元気なうちは何歳からでも始められるので、自分の姿勢を見直す機会にもなります。
次は社交ダンスのワルツで必須のステップについて動画で紹介していきます。
今回は、ワルツの基礎ステップを紹介していきます。
こちらのステップでは、以下の順番にリズムを踏みます。
最初の予備歩では、男性が右足から踊り始めるときに1歩余分に左足からステップします。
その後は、ナチュラルターンとアウトサイドチェンジの繰り返しなので、初心者の人なら習得すべきステップです
こちらのステップはパーティーダンスでも使われており、最初にボックスを2周してから予備歩に入ります。
以下の順番にステップを踏んでいきます。
予備歩のあとは、ナチュラルターンとアウトサイドチェンジを2回ずつ踏み、終盤にナチュラルスピンターンとリバースターンで締めくくります。
こちらのパーティーダンスでは、ボックスを2周してからプロムナードポジション、シャッセフロムPPから始まります。
以下の順番にステップを踏んでいきます。
ワルツA00とA04を組み合わせたようなステップの総復習なので、慣れるまで練習を繰り返してみましょう。
本記事では、社交ダンスの目的から種類まで紹介しましたが、どの年代からでも気軽に始められるダンスなので、興味がある人はこの機会に始めてみるといいでしょう。
趣味として始めるのとスポーツとして練習するのとでは異なるので、自分の本気度で決めるといいかもしれません。