ソウルダンスは、1960年代に流行したアメリカにおける黒人たちの音楽であるソウルミュージックのリズムに合わせて踊るダンスです。現代でいうと、ノリの良い皆が楽しめるダンスともいえます。
ソウルミュージックはR&Bとも呼ばれ、このジャンルで有名なアーティストは「ジェームズ・ブラウン」「ジャクソン5」が代表的です。日本でも、米軍基地の黒人たちが男女で楽しむダンスとして知られており、ソウルダンスの中にも種類があるため、総称して呼ばれるようになりました。
1960年から1990年代に流行した、ニュージャック・スイングと呼ばれるヒップホップとR&Bが融合した音楽で踊られたダンスともいわれています。その影響でソウルダンスはニューダンスと呼ばれることもありました。
デトロイトの別名「モータウン」を本拠地とするレコード会社タムラ・モータウンのサウンドの総称、「モータウン・サウンド」で男女がペアで踊るダンスとして知られていましたが、それ以前はステップダンスが踊られるように。
ソウルダンスは、ストリートダンスの基本的なダンスの1つで、覚えやすいリズムと音楽なので初心者の人におすすめです。
ソウルダンスは、1950年代から1960年代にかけて自然発生したソウルミュージックに合わせて踊りますが、実はゴスペルにルーツを持っており、一般的には大衆音楽のダンスとして知られています。
1970年代になると、アフリカ系アメリカ人による公民権運動の効果もあり、黒人の差別解消が始まった流れで、全米で人気を集めていたダンス番組「SOUL TRAIN」がきっかけで世界中に広まり、日本でもソウルダンスとして認知されるように。
ソウルダンスはもともと、ストリートダンスの1つなので、歴史の深いダンスともいえます。発祥地のアメリカでは、ソウルダンスのことをパーティーダンスやパーティーグルーヴと呼ばれているので、海外では「ソウルダンス」という呼び方が存在しません。
つまり、「ソウルダンス」は日本人が呼び始めた言葉なので、1970年代のダンスも「ソウルダンス」として認知されています。なので、明確なジャンル分けが難しく、黒人たちのノリそのものを指すことも。
日本のソウルダンスは、ディスコからアレンジされた要素やステップが混じっているため、本場のソウルダンスと異なります。また、「和製ソウルダンス」と呼ばれるジャンルも存在するため、複雑に。
一方で本場のアメリカで踊られていたソウルダンスは、現代ではストリートダンスの総称である「オールドスクール」に分類されており、ヒップホップ音楽の中で生まれた「ニュースクール」へと引き継がれています。
現代で有名なのは、「マイケル・ジャクソン」「三代目J Soul Brothers」を始めとするダンサーたちに踊られています。最近のヒップホップダンスは、ソウルダンスから発展したものがほとんどです。
ソウルダンスで有名な踊りは、「ファンキーチキン」「ツイスト」「スネーク」「ポップコーン」が挙げられ、動物やダンスミュージックの名称が由来になります。
ダンスの初心者の人や、ヒップホップダンスに興味がある人は、ソウルダンスに挑戦してみてもいいでしょう。ソウルダンスは多くのメディアで知られており、身近なダンスなので、未経験者や小学生でも出来ます。
また、ソウルダンスのファッションに決まりはなく、最近ではヒップホップ系のファッションが流行です。カジュアルで動きやすい服装なら何でもいいでしょう。
1930年代にアフリカ大陸からアメリカ大陸に植民地の奴隷として輸送されたアフリカ人は、彼らの言語から宗教まで奪われてしまいました。当時のアメリカ南部では、キリスト教プロテスタントの非主流派として知られている、プロテスタント福音派が多く普及されていたことから、キリスト教に改宗した後に、音楽を通じて神へ讃美歌を捧げるように。
現代で知られている「ゴスペル」と呼ばれるようになり、英語ではキリスト教の教えである「福音」の意味を持ちます。アフリカ特有のリズムや口承伝統と、讃美歌が融合したことで、ゴスペルの基調となる音楽が誕生しました。
その後は、多くのゴスペルミュージシャンが誕生したことで、教会や礼拝にて演奏を行い、街の通りでギターを弾きながら歌い始めます。ゴスペル出身の「サム・クック」「ジェームス・ブラウン」たちは、ゴスペルからブルースに発展したR&Bに転向したことで、1960年代のソウルミュージックを開拓しました。
当時のアメリカ南部では、奴隷制度や南北戦争の名残りから文化的・歴史的な遺産があり、独自の習慣や文学、料理、音楽が発達した背景がソウルミュージックの起源となります。
ソウルダンスのステップの特徴として、腕をあまり動かさずにステップをメインに踊ります。もともとはクラブやディスコを中心に流行したダンスなので、人が集まる場所で腕を大きく動かせないという事情で今のスタイルになりました。
また、普段ダンスを踊らない人もクラブに来ていたことから、他のダンスと比べて簡単なステップがほとんどです。現代のダンススクールにおけるソウルダンスのレッスンも、ヒップホップに比べると簡単なので、初心者の人でも出来ます。
今回は、ソウルダンスの中で、以下の4つのステップを紹介します!
ダンスを習ったことがない人でも出来るツイストは、片足を上げて、もう片方の足と腰をひねるステップです。他にも、前後に体重を移動させたり、両足を床につけたまま足と腰をひねる踊り方もあります。
ツイストはソウルダンスに限らず、他のダンスでも使用される基本ステップです。
ちなみにツイストの起源は、1920年代にアフリカ系アメリカ人たちが身体をひねらして踊っていたダンスといわれています。1960年代になると、当時流行した社交ダンスによって広まり、腰をひねることから「ツイスト」と呼ばれるようになりました。
スネークもツイストと同様にソウルダンスの基本的なステップの1つです。左右にヘビのような動きが特徴で、首・肩・腰・足の順番に身体のパーツをなめらかに動かします。
一度は見たことがあるボディウェーブは前向きに身体を波打たせていますが、スネークの場合、正面を向いた状態で横向きに身体をくねらせます。
身体より少し低いバーを頭からくぐり抜けるように、体重を徐々に片足にかけながら移動することがポイントです。
スネークをさらに複雑にした動きがポップダンスのウェーブです。スネークでは、なめらかに身体のパーツを動かしますが、ウェーブではスネークの動きとパーツを1つ1つ独立させて動かします。
気軽にダンスを楽しみたい人はスネークから学んでもいいでしょう。本格的にダンスを学びたい人は、身体の使い方とパーツを部分的に動かせるようにしてから、スネークとウェーブに挑戦することがおすすめです。
ポップコーンといえば食べ物をイメージする人が多いと思いますが、ソウルダンスのステップの名前であり、ヒップホップのダンサーもよく使います。
ポップコーンは、両足を交互に前に振り上げる動きで、片足の振り上げと連動させながら、もう片方の足を後方にスライドさせる動きもあります。
ポップコーンのコツは、足を振り上げた時に、もう片方の足を後ろにスライドすることがポイントです。
足を振り上げる時は、後ろにスライドさせながら蹴ると同時に、後ろに軽く飛ぶイメージするといいでしょう。最初は片足から徐々に両足でも出来るように練習していきます。
また、ポップコーンは細かい動きで素早い動きが求められますが、1つ1つの動作を習得していくことがコツです。慣れてきたらスピードを上げていくといいでしょう。
初心者の人によくある失敗例として、足を動かす量が不十分であることが多く、振り上げる足とは逆の足をしっかりとスライドするように意識が必要です。足の動きが少なければ、インパクトに欠ける動きになりがちなので注意しましょう。
ポップコーンでは足の入れ替えが早いため、足を引っかけないようにするためにストレッチを行ってから練習することが大切です。
ファンキーチキンは、直立の姿勢から片足を上げたタイミングで膝を外向きに開き、足を閉じて地面につける動きを交互に繰り返すステップです。このファンキーチキンは、ロックダンスを広めた、ドン・キャンベルがこのステップが不得意で、ぎこちない動きから生まれたといわれています。
そもそもファンキーチキンとは、陽気なニワトリを大胆に表現したダンスです。肘を張りながら、手首を腰につけて、がに股でパタパタと羽を動かすような動きが特徴なので、コメディ好きなアメリカ人にウケたダンスだったのでしょう。
意外かもしれませんが、ロボットダンスもソウルダンスの1つです。名前のとおり、ロボットのようにゆっくり動いたら停止したり、その時の衝撃を表現します。
また、ロボットダンスを応用したものが今のポップダンスです。ポップダンスは、身体の筋肉に力を入れてヒットを打つほかに、ウェーブで波打つ動きを取り入れています。
ロボットダンスはメディアでも頻繁に出現しているので、初心者の人でもイメージがしやすいでしょう。ポップダンスに入門する前の基礎として、ロボットダンスに挑戦することがおすすめです。
アメリカで黒人による黒人のための音楽番組「SOUL TRAIN」により、世界中にソウルダンスが知られるようになり、日本でも流行しました。ソウルダンスは、R&Bのリズムに合わせて踊るダンスです。
1977年に公開された映画「サタデーナイト・フィーバー」で人気を集め、ダンスミュージックが大ブームとなったことで、日本にも輸入されることになりました。日本では、ディスコの要素を取り入れたソウルダンスを生みながら、日本独自のスタイルに進化した結果、現代に至ります。
ソウルダンスもストリートダンスの1つで、ダンス文化の多くはアメリカの悲惨な歴史的背景から生まれ、今ではエンターテインメントの1つとして親しまれるようになりました。
今回はソウルダンスについて紹介してきましたが、アメリカで生まれたダンスはすべて繋がっています。もとは暴力や犯罪を繰り返した若者たちがストリートダンスを始め、いろんなダンサーによってヒップホップやソウルダンスに派生しました。
おそらく、こういった歴史的背景がなければ、現代のソウルダンスは生まれなかったでしょう。アメリカとアフリカの文化を融合させたダンスという芸術は、人間の感情表現の手段として世界中で親しまれています。
また、アメリカと日本のソウルダンスは要素が異なるので、ソウルダンスを本格的に学ぶなら本場のアメリカがいいでしょう。ソウルダンスは初心者の人でも出来る簡単なステップが多いので、この機会に始めてみませんか?