シアターダンスは難易度が高いダンス?実際に必要なスキルも紹介!

シアターダンスは本当に難しい?

劇団四季やブロードウェイミュージカルの舞台で踊られているシアターダンス。シアターダンスといっても、踊るだけでなく、歌と演技の要素が必要です。

ミュージカルを観たことがある人なら、キャストが踊りながら歌う場面を観たことがあるでしょう。一つひとつの作品には世界観や登場人物像というものが必ず存在します。

ミュージカルの舞台に出演するキャストは作品のことを深く理解し、劇中の登場人物のように細かな仕草まで研究しなければなりません。もちろん、全体を指揮する舞台監督やスタッフも作品の全体像を練習を通して作り上げるため、団結力が必要不可欠です。

私は4年間、ミュージカルや舞台演劇に参加していましたが、毎回キャストもスタッフも全員真剣に挑んでいました。

シアターダンスにおいては身体を動かすだけでなく、セリフと歌も同時に行う場面があります。その場合は、まずダンスを身体に覚えさせなければなりません。

音楽を聴いただけで無意識に身体が動くほどのレベルまで練習を積み重ねるまでは、他のダンスと同じです。しかし、ジャズダンスやバレエなどの要素が混じったダンスでもあるため、習得するまで苦労するかもしれません。

私はダンスの経験がほとんどない状態で挑んだので、練習期間が一番苦しかった記憶があります。最初は毎日のハードな練習で筋肉痛になるので、演技どころではありませんでした。

練習を繰り返しているうちに、徐々に身体が慣れていきます。そうすると、自然に基礎体力が向上するので、ダンスを踊りきるくらいまで伸びます。

シアターダンスは、ダンスのなかでも難易度が高いダンスともいわれていますが、適切な練習を行えば、誰でも可能です。観客はキャストの細かい動きや表情を見ているため、自己表現力が求められます。作品が完璧に仕上がるまで約3か月はかかると思ってください。

しかし、練習を積み重ねるごとに仲間たちとの切磋琢磨により、団結力が養われます。最初はバラバラだった心が1つになるイメージです。

シアターダンスのポイントは何よりも自分が楽しむことだと思います。私も実際に舞台に立つときは「失敗してもアドリブで何とかなる!」という勢いで、本番に望んでいました。

本番という日は、練習期間よりも圧倒的に短いものなので、あっという間に終わります。シアターダンスや舞台演劇を引退してから時間が経った今でも、身体が覚えているので、身体に染み込むまで練習をしていました。

シアターダンスは、作品の世界観やストーリーを伝えるダンスなので、最初は難しいように感じるかもしれません。シアターダンスを通じて、他の誰かになりきる経験は意外と楽しいと思います。

シアターダンスに必要なスキルは?

シアターダンスは、ミュージカルの要素の1つなので、必要不可欠な舞台演出です。しかし、難易度が高いといわれている理由はセリフ・歌だけでなく、感情表現やキャラクターづくり、表情の変化を身体を使って観客にどうやって伝えるのかを試行錯誤しなければなりません。

ダンスだけでなく、複数の要素を考慮する必要があります。もちろん最初から完璧にできる人はいないので、舞台監督がイメージする作品に合わせるように、自分なりに工夫する努力も欠かせません。

セリフや歌のために発声方法も普段の会話レベルでは、観客に届かないので特別なトレーニングが必要です。それをダンスしながら行うため、人並み以上に体力消耗が激しくなります。

簡単そうに見えても、実際にすると難しいので覚悟も必要です。練習するにつれて、舞台監督や指導者の指導が厳しくなるかもしれませんが、乗り越えれば必ず自分の力になります。

つまり、最前線で活躍する芸能人や舞台出演者は、裏でかなり努力していると考えられます。シアターダンスを踊るために、最低限必要なスキルをまとめました。

シアターダンスに必要なスキルは、以下のとおりです。

  1. 基礎体力・持久力
  2. 柔軟性
  3. 腹式呼吸で発声
  4. 感情の表現力
  5. 団結力
  6. 自己管理能力

それぞれ1つずつ説明します。

①基礎体力・持久力

シアターダンスだけでなく、他のダンスやスポーツと同様に基礎体力と持久力が必要です。適度な筋力がなければ、一曲を踊りきるまでに体力消耗が激しいので、キレの良さが表現できません。

基礎体力は、基本的に日々の筋力トレーニングが欠かせず、持久力にも繋がります。ダンスの途中で疲れてしまわないように、無駄な動きをなくすことがポイントです。

しかし、自分では気が付かないので、ダンスを踊るときは鏡を正面にすることを当たり前にしておきましょう。また、自分のダンスを動画で録画しておくと、あとから見返しやすいので、おすすめです。

身体を鍛えることを習慣にすると、自然に体力は身についてきます。たとえば、自転車の移動を歩きに変えたり、重い物を持ちながら上下するといいでしょう。

しかし、シアターダンスは約1時間以上あるミュージカルのなかで行うので、相当な体力を使うと予想できます。発声するための腹筋や、アクロバティックな動きをするときに足の筋肉や背筋もダンスの動きに応じて鍛えておくといいでしょう。 

②柔軟性

シアターダンスは、ジャズダンスやバレエの要素が含まれていることがあります。しなやかさや柔らかい表現をするためには、柔軟性も必要です。

身体が柔らかいことは、かなり強みになります。演じる人物の特徴や仕草に対応できる数が増えるので、ストレッチは欠かせません。

バレエダンサーのイメージに近いですね。また、ダンス中に事故が起こる可能性も少なくはないので、怪我をしにくいというメリットもあります。

また、身体の柔軟性はもちろん、臨機応変に対応できる柔軟性もあればいいでしょう。たとえば、演技の途中でセリフが飛んでしまったときも、アドリブを利かせるくらいの柔軟性が必要です。

周りの状況に対して、柔軟に対応できる力はダンス以外にも活きてきます。「必ずこれをしなければならない」といった真面目さは必要ですが、予定は変化するものと覚えておきましょう。

③腹式呼吸で発声

シアターダンスが他のダンスと異なる点は、演劇の要素があることです。いわゆるミュージカルなので、セリフ・歌・ダンスを組み合わせたスタイルが一般的でしょう。

普段の会話するときは胸式呼吸で行われています。なので、無理に大声を出すと声が枯れてしまうのは、空気の吸い込みが浅いからです。

一方、腹式呼吸では横隔膜と呼ばれる助骨に付着している筋肉を利用することで、お腹から発声します。

よく「お腹の底から声を出す」という言葉を聞いたことがあると思いますが、腹式呼吸によって胸式呼吸よりも声が通るようになる原理です。

腹式呼吸は実は人間が寝ているときに行われているため、直立状態では難しく感じるかもしれません。仰向けに寝転がると、お腹で呼吸していることがわかるので、試してみてください。

最初のうちは慣れないため、トレーニングが必要です。具体的なトレーニング方法としては、丹田と呼ばれるへその下に手を当てながら、直立状態で発声を続けます。

ポイントは、丹田に溜まっている空気を口から吐き出すイメージです。胸で呼吸するのではなく、お腹を意識すると徐々にできるようになります。

私も最初はできませんでしたが、トレーニングしてから1か月経ったときにいつの間にか出来るようになりました。発声方法は「アー」と「ア・ア・ア...」を繰り返すだけです。

また、ピアノの音階に乗せて発声することも行うと、歌うときに役立ちます。また、発声せずに息だけで空気の吸い込みを繰り返し、身体のなかから空気を出しきるまで吐き出すトレーニングもおすすめです。

④感情の表現力

ミュージカルや演劇を観たことがある人ならイメージが付くと思いますが、役者が場面の状況を説明するかのように感情を表現しています。まさに、ストーリーを伝えるために感情表現を行いますが、意外と意識していなければ無表情になることも。

シアターダンスするときも、作品の世界観やストーリーにもよりますが、無表情だと伝わりにくいので、感情表現は欠かせません。感情の表現力を高めるためには、自分自身が役に入り込むことが一番いいのですが、表現によっては伝わりにくいものです。

大胆な感情表現のトレーニングを行うといいでしょう。具体的には「怒り」「喜び」「悲しみ」などの感情表現をキャスト同士で行うと、お互いに良いところと改善点を見つけられます。

シアターダンスそのものが、感情表現といってもいいでしょう。ストーリーのなかで、何かしらの理由でダンスを行うので、前後の感情の流れをしっかり把握しておくことがポイントです。

たとえば「喜び」のなかで「悲しみ」のダンスを踊ることは、一般的には変ですよね。ストーリーに一貫性を持たせるという意味でも、ダンサーはただ単に踊るだけでなく、ストーリーの流れを意識しなければなりません。

そこがシアターダンスの難しさといわれている1つの理由です。自宅でも鏡の前で、表情のトレーニングを行うと表情筋が鍛えられるので、無意識にできるようになります。

何度も通しで練習を行うことで、作品に対する理解が深まるので、諦めずにやりきりましょう。

⑤団結力

シアターダンスは基本的に複数人で行うため、団結力が必要不可欠です。1人でも息が合わなければ、テンポが遅れがちに。だからこそ、1人1人の得意不得意を把握することが大切です。

定期的にダンサー仲間と打ち合わせを繰り返し、ほかの役者も巻き込んで練習を行うといいでしょう。キャストやスタッフとしての関わりだけでなく、プライベートでも関係性を深めておくことが大切です。

仲間の知らない一面が見られたりするので、信頼関係を築くために練習外でも関わっておくといいでしょう。演劇の舞台に立つ役者やダンサーは演じる側の人間なので、感情にのめりこみすぎて、メンタルが弱くなる可能性もあります。

また、仲間同士のケンカなどで空気を悪くしてしまうと、他のキャストにも影響を与えるリスクも。そういったことにならないように、練習中の雰囲気づくりもポイントです。

演じるキャスト同士だけでなく、裏側で動いているスタッフとも打ち合わせが必要です。音響や照明のタイミングは台本では把握しきれないため、スタッフとの打ち合わせも欠かせません。

団結力は、バラバラだった心を1つにする力です。ほかの誰かがやってくれるのではなく、自分自身も仲間たちとの関係を良好にする努力をしましょう。

⑥自己管理力

舞台演劇に関わるためには、自己管理能力が必要です。基本的に自分の代わりはいないという意識でのぞむことが、自己管理能力を高めることに繋がります。

たとえば、練習のときに病気で欠席してしまうと、遅れを取り戻すことが大変だったり、本番までに完成が遅れてしまうと仲間たちに迷惑をかけることも。迷惑とまではならなくとも、1人でも欠けると代役を見つけたり、ストーリーの流れを変更しなければなりません。

また、自分が出来ていないところを振り返り、改善する努力ができることも自己管理能力の1つです。団体で練習していると、無意識に自分も出来ているという意識になってしまいがちなので、本当に大丈夫かどうかを疑うといいでしょう。

本番までに、もしかしたら病気や何かしらの事情で参加できなくなる可能性もゼロではありません。指導者のマネジメントだけでは管理しきれないため、キャスト自身の健康管理が重要です。

充分な睡眠や食事など、基本的なことをしっかりしておくだけで大病になるリスクも減少するので、健康管理だけは徹底するといいでしょう。そして、練習において無理をしてはいけません。

真面目な人に多いのですが、誰よりも完璧にできるようになりたいと追い求める傾向があります。私も無理しすぎて仲間たちに心配をかけてしまったことがあるので、肩の力を抜きながら適度に真面目な姿勢でいるといいでしょう。

完璧を求めることは大切ですが、本番では何が起こるかわからないので、余裕をもった姿勢でいましょう。「何とかなる」という気持ちでいれば、リラックスして失敗する可能性も低くなります。

メンタル面の不安定を引き起こすと、意欲減退のリスクもあるため、練習だけに生きがいを求めないことも大切です。自己管理は舞台演劇だけでなく、日常生活でも意識するように心がけましょう。

シアターダンスに活かせるダンスは?

シアターダンスは、ジャズダンス、クラシックバレエ、ヒップホップダンスなどさまざまな要素が入り混じったダンスです。作品によって特徴は異なりますが、何かしらダンスを経験してきた人にとっては入り口が楽かもしれません。

経験者は身体の動かし方が理解できていると思うので、ジャンルが異なるダンスに対応することも難しくはないでしょう。未経験者にとっては、リズム感やキレの良さを最初から求めるとハードルが高くなるため、アイソレーションで身体の動かし方を学ぶことから始めます。

しかし、シアターダンスでは感情表現や歌・演技も同時に行うため、難しく感じるダンサーが多く、まさしくマルチプレイヤーのようなイメージです。作品のなかには、ダンスのみで特に演技を行わないこともありますが、道具を使ったダンスもあります。

たとえば、傘の開閉機能を利用したパフォーマンスや帽子を上手く利用したり、演じる役割によって道具を与えられることも。また、本番になると衣装を着用して踊るため、ヒールの高い靴を履いたりすることがあります。

練習期間のうちに一部の道具や衣装を使うといいでしょう。シアターダンスを始めるなら、ジャズダンスかバレエの基礎を身につけると表現力が格段に上がります。

演技を楽しみながら、ダンスを踊る感覚なので、まずは自分が心の底から楽しむことを意識してみるといいでしょう。

シアターダンスを踊ってみよう!

こちらの動画では、テーマパーク用のシアターダンスが踊られています。ダンサーの動きを見てみると、身体全体を使ってパフォーマンスを行い、手や指先まで意識していることがわかります。

まず、ダンサー全員の姿勢に注目してみてください。軸が直線的で全体的に綺麗に見えます。回転する動作が多いなかで、ゆっくり腕を下ろすときも筋力を使っているのと、一回転したあと体幹を使ってバランスを保っています。

また、ダンサーの表情を見てみると、しっかり笑顔ですよね。シアターダンスは歌い踊るようなダンスなので、曲調の明るさに合わせて踊ることがポイントです。

まとめ

本記事では、シアターダンスの難易度や実際に必要なスキルについて解説しました!歌って踊るダンスなのですが、実際にやると意外と難しいというのがシアターダンス。

しかし、しっかりトレーニングと自己管理を行っていれば、未経験者でも出来るダンスです。私も未経験から始めたので、最初は体力づくりからスタートしました。

ダンスを覚えたのちに、演技を少しずつ取り入れていくと無意識にできるようになります。練習期間は長いですが、本番は一瞬です。

また、仲間たちと1つの作品を作り上げる楽しさもあるので、やりがいのあるダンスでもあります。興味ある人は一度、経験してみるといいでしょう。

related posts